【アシナガバチとの対決(駆除体験記)】

prologue アシナガバチについて
毎年、7月頃になると、アシナガバチを見かけます。
見た目は、少しスズメバチに似ていて、足が長い。
飛び方がへたっぴで、ふらふら飛んでいる。
危険性はあまりなく、芋虫やケムシ、バッタなどを狩ってくれ、花の受粉を助けてくれる「益虫」と呼ばれる存在です。
益虫と呼ばれるアシナガバチですが、攻撃性はスズメバチより少ないのですが、巣に近づかれると相手を攻撃するという「凶暴な面」もあります。
そもそも、アシナガバチは、分類上は「スズメバチ」の仲間なのです。
同じ「スズメバチ科」ですが、属(グループ)が違うだけなのです。そしてスズメバチもアシナガバチも、「何度でも刺せる針」を持っている危険昆虫なのです。
1 アシナガバチの発見
夏になると、昨年(2024年7月)のことを思い出します。
昨年7月、ベランダに出るとアシナガバチが、ベランダに置かれた鉢植えの果樹の周りを何匹も飛んでいました。
果樹についている虫の幼虫をとったり、花の受粉をしてくれているのだろうと思いながめていました。
しかし、今までアシナガバチが来ていたことはありましたが、一度に見たのは2,3匹が最大でした。
ですが、今回は5,6匹が周囲を飛んでいるのが確認できました。
ベランダのすぐ目の前にはヤマボウシという小さな実をつける樹が植えられています。
ヤマボウシは夏の強い日差しを遮ってくれ、木陰を作ってくれています。
そんなヤマボウシの枝葉の隙間をアシナガバチが飛んでいましたが、ふと、奇妙な物体が目に入りました。

ヤマボウシの樹の枝に、何か塊があるのに気づきました。
塊の表面には、黄色と黒色の模様があり、不規則に動いていました。
よく見ると・・・なんとアシナガバチの巣だったのです。
巣の表面には、無数のアシナガバチが蠢いており、巣の中に入ったり、出てきたりしている者もいました。
その光景は、「きもちわるすぎるっ」の一言でしか言い表すことはできません。

あまりの気持ちわるさに、すぐに家の中に入りました。
まさか、あんな気持ちわるいものが、ベランダの目の前にあるなんて・・・巣はヤマボウシの幹に近い枝の部分に作られていて、枝と一体化しており、
絶対に除去することはできない
と思いました。
どうしていいかわからず、ネットでアシナガバチのことを調べることにしました。
ネットで調べると、「アシナガバチは益虫、巣に近寄らなければ攻撃してこない」という情報がありました。
そのときは、「不用意に巣に近づかないようにすればいいだろう」と考えました。
しかし、一度は、「巣に近づかなければいいだろう」と考えたのですが、時間が経つにつれ、危険性を考えるようになりました。
巣がある場所は、手が簡単に届く場所だった・・・。
ベランダに出れば、巣に近づかなくてもアシナガバチが攻撃してくるかもしれない。
と考えはじめると、どうにかして巣を撤去したいという思いが強くなってきました。
巣を撤去するために、駆除業者に連絡をしようと思い、ネットで駆除費用を確認すると以外に高額でした。
しかも、すぐに来てくれるような業者はいませんでした。
やはり、巣に近づかないようにして、アシナガバチが巣を放棄していなくなるまで我慢するしかないと諦めかけました。
しかし、ふと脳裏に
逆に考えるんだ。
あげちゃってもいいさと考えるんだ!
という故ジョージ・ジョースター氏の言葉がよぎりました。
すると、
業者に頼らずに自分で駆除すればいい。
アシナガバチの巣も巣だけ撤去できないなら枝ごとあげてしまえばいい。
という名案が浮かびました。
2 アシナガバチ駆除計画
アシナガバチに刺されると、かなりの痛みを感じるらしい。スズメバチほどではないが痛いらしい。
また刺されることでアナフィラキシーショックが起こることがあるという危険性もある・・・
巣を撤去してアシナガバチを駆除するためには、入念な計画を練る必要がある。
「戦いに勝つには情報が必要」と考え、ネットで敵の情報を収集をすることにしました。
ネットで敵のさまざまな情報を収集した結果、次のことがわかりました。
敵は、・巣に近づくものを容赦なく攻撃してくる
敵の武器は5ミリ程度の長さ
刺されたときの痛みは強烈
夜行性で、夜は巣に帰ってくる
ということでした。
この情報を元に、アシナガバチ駆除計画を作りました。
計画は以下のとおりです。
① 敵はほとんどが夜になると巣にかえってくることから、日没後に一網打尽にする。
② 枝を根元から切って、枝ごと巣を撤去するために、枝の巣より先端側を切る。
③ 巣がついている部分の枝ごと大きな袋に入れて枝元で袋をしばり、枝元を切る。
④ 枝元を袋に押し込み、袋の口を完全に閉める。
⑤ 袋に入らなかったアシナガバチを一匹ずつ仕留める。
⑥ 袋に入らなかったアシナガバチを全て駆除したあと、巣を入れた袋の中に殺虫スプレーをかける。
という流れです。戦いの準備をして日没後に作戦を実行することを決心しました。
3 戦いの準備
ハチの駆除業者は、宇宙服のような専用の服を着ています。
スズメバチの針を貫通させることはなく、頭部からつま先まで完全に守ることができる無敵の服です。
しかし、そのような服は持っていませんので、身の回りにあるもので装備を固めなければなりません。
まずは武器です。
武器は、いつも使っている蚊を感電させて退治する「カッチ」と呼ばれる武器を使うことにしました。
また、袋に入れることができたハチを退治するための殺虫スプレー、枝を切るための剪定バサミ、巣を入れる大きなビニール袋を用意しました。
次に防具です。
専用の防具はないので、自宅にあるもので対処します。
足元から準備をしていきます。足には厚めの靴下を3枚を重ねてはきました。
そしてズボンです。長ズボン、しかも厚めの生地のものを3枚重ねてはくことにします。
2枚履いた時点で暑い・・・。
3枚履いた時点で、だいぶ動きにくくなってしまいました。
しかし、厚さは充分です。
上着は、長袖のトレーナオーを3枚重ねです。
この時点で、汗がだいぶ出てきました。
室内はエアコンがはいっており、涼しいのですが、厚着のせいでかなり暑くなってきました。
頭にはタオルを二つ折りにして載せました。
そして、その上から周囲につばがある帽子をかぶります。
さらに、帽子の上から5ミリメッシュの防風ネットを頭を覆うようにかぶり、防風ネットの端をトレーナーの首元に入れ込みます。
まだ手が使える状態なので、この時点で、・ズボンの裾と靴下の間の隙間・トレーナーとズボンの間の隙間・防風ネットの端を入れ込んだトレーナーの首元にガムテープを貼り、隙間がなくなるように補強しました。
最後に、手に園芸用のゴム手袋をはめ、さらにDIYで使っている耐熱グローブを手袋の上からつけ、トレーナーの裾と耐熱グローブの隙間をガムテープで補強しました。
武器と防具を身に着け、装備が完了しました。
とてもおしゃんな姿で暑さと戦いながら、作戦の開始時刻を待ちます。

4 アシナガバチとの対決
午後7時を過ぎ、日没を待ちます。
しばらくすると外が暗くなってきました。
作戦実行の時刻がやってきました。
ベランダに出て、スリッパを履き、目の前のヤマボウシに近づきます。敵は、危険を察知したのか、すぐに先発隊数匹が飛び出してきました。
昼間に巣を発見したときにはこのような行動はなかったのに、殺気に気づいてすぐに行動を起こしたのだとしたら・・・生き物の本能に怖さを感じました。
そのとき、脳裏に
勇気とはいったい何か?
勇気とは怖さを知ること!
恐怖をわがものとすることじゃ!
という故ウィル・A・ツェペリ氏の言葉がよぎりました。
先発隊数匹が私の周りを飛び、警戒心をあらわに、威嚇しています。
私は、怖さを勇気にかえ、ヤマボウシの邪魔な枝をのかし、巣が一体化している枝の先端を握りました。
敵の先発隊は、今にも攻撃をしかけてきそうな様子です。
敵の本拠地である巣の表面では、アシナガバチ達がすばやく蠢いており、穴から飛び出してくる者もいます。
勇気を振り絞り、剪定ばさみを手に持ち、枝先から3分の2程度の枝を切り落としました。
残った枝の部分はなんとかビニール袋に入り切りそうな長さになりました。
敵が私の周りで、激しい威嚇をしているのがわかります。
次に準備していた大きなビニール袋の口を開き、残った枝の枝先側から敵の本居地ごと枝元まで覆い、袋の口を枝元でしばりました。
薄明りの中、周りを見ると、敵の数十匹の飛行部隊が飛び回っており、恐ろしい羽音をさせています。
これまでの人生で経験したことのないような恐ろしさです。
そして、敵が私の腕にや上半身に体当たりをしてきている感触が伝わってきます。
完全防備のおかげで敵の針が私の肉体にたどり着くことはありませんが、感触は恐ろしさがあります。
周囲を飛び回っている飛行部隊を無視し、巣ごと覆った枝を枝元から切ります。
敵が体当たりしてきているのがわかります。
枝ごと巣を覆った袋をベランダの床に置き、枝元を袋に押し込んでから袋を完全にしめました。
周りでは数十匹の飛行部隊が飛び回り、体当たりをしてきているのがわかります。
敵の本拠地を袋に閉じ込めたため、増援がくることはなくなりましたが、敵はまだ数十匹残っています。
ベランダは狭く身動きがとれないことから、ベランダの奥の階段を上り屋上へ戦いの場を移すことにしました。
敵の不意をつき、階段を上り屋上に出ます。
しかし、敵は確実に追ってきます。
屋上へ移動する最中にも、敵が体当たりをしてきているのが分かります。
しかも、腕や上半身に体当たりしてくるだけではなく、顔を狙ってくるものもいます。

5 飛行部隊との闘い
屋上に出ると、数十匹の飛行部隊が周りを囲んでいました。
敵は、私の腕や上半身を狙うのをやめ、頭部をめがけて体当たりをしてきているのがわかります。
敵が激怒しているのが伝わってきます。
・・・とてつもない恐怖心が襲ってきます。
しかし、この戦いは途中でどちらかが降伏することはありえないのです。
どちらかが全滅するまで終わらないのです。
襲い来る恐怖心の中、「この戦いは、敵を全滅させなければ終わらない」と自分に言い聞かせ、右手に握りしめたカッチを構えます。
敵は、様々な方向から攻撃をしてきていますが、目の前の敵から一匹ずつ仕留めていくことにしました。
敵の攻撃を見ていると、敵は突撃してくる際、私から1メートル前後離れた位置でホバリングをし、そのあと顔をめがけて飛んでくることに気づきました。
周囲が暗いことから、敵もよく見えていないのだと思いました。
私の目の高さでホバリングしている敵に正対し、カッチを顔の高さに構えます。
敵は、ホバリングしている場所から直線的に顔をめがけて突進してきました。
右手のカッチの通電ボタンを押しながら、突進してきた敵にあわせるようにたたきつけます。
敵は、電気ショックでしびれたような様子で屋上の床に落ちました。
スズメバチ科のハチは、とても頑丈だと聞いたことがあります。
落ちたアシナガバチはしばらくすると復活するおそれがあったので、素早くスリッパで踏みつぶしました。
やっと一匹・・・
息をつく間もなく、他の敵が攻撃をしかけてきます。
近くでホバリングしている敵に体を向け、カッチを構えます。
目があった瞬間、敵は攻撃をしかけてきました。
しかし、直線的な動きのため、カッチでうまくたたき落としました。
そして、スリッパで踏みつぶします。
周りでは、他の敵がつぎつぎに攻撃をしかけてきています。
決着
敵のやむことのない頭部への体当たり攻撃の中、突撃の準備態勢に入っているアシナガバチを選び、カッチを構え、攻撃してきたところを仕留めていきます。
一匹仕留めたあとは、すぐに体制を整え、次の敵を選び、体制を整えてカッチを構え、攻撃にあわせてたたき落とします。
何度も、何度も・・・。
戦いの開始から、一体どれくらい経ったのだろうか・・・
集中力も薄れ、服の中は汗だく状態でした。
気が付くと、周りからは羽音が聞こえてこなくなっていました。
屋上の床には敵の死骸が散乱しています。

月明りの中、注意を払いながら周囲を確認しましたが、敵は見当たりません。
・・・これは・・・
ついに、敵をやっつけたぞォォォォォ!
思わず雄叫びをあげそうになってしまいました。
何とか、敵の飛行部隊を何とか殲滅することができました。
敵とは1時間前後戦っていたような気がします。
飛行部隊を撃破したので、ベランダに戻り、袋にいれた敵の本拠地を殲滅することにしました。
ベランダに戻り、殺虫スプレーのノズルを巣を入れた袋の口から中に差し込み、スプレーを噴射しました。そして、袋の口を開けられないようにしばり、この戦いの幕をが下りました。
epilogue 二度と戦いを起こさないために
アシナガバチの飛行部隊との戦いは壮絶なものでした。
1時間前後戦っていたと思っていたのですが、実際は5分程度の戦いだったようです。
アシナガバチの攻撃はとても恐ろしく、二度と戦いたくはありません。
戦いの翌朝、屋上の床に散乱していた敵の死骸はすべて回収しました。
また、昨夜、巣に戻ってきていなかったと思われるアシナガバチ数匹が、巣を探すようにふらふらと飛んでいたことから、1匹ずつカッチで仕留めさせていただきました。
最初に触れたように、アシナガバチは益虫です。
こちらから攻撃したり、巣に近づかなければ攻撃してくることはありません。
今回は、ベランダの目の前に巣をつくられていたことで、しかたなく駆除することとなりました。
人というものは成功や勝利よりも「失敗」から学ぶことが多い(ジョルノ・ジョバーナ氏)
という言葉を聞いたことがあります。
今回、アシナガバチの駆除には成功しましたが、ベランダの目の前に巣をつくらせてしまったことが、そもそもの失敗だったのです・・・
二度とこのような戦いを起こさないように、
アシナガバチが巣をつくらないような環境
作りにくい環境
にしておくことがことが重要だったのです。
