【侵入者(Fig moth)イチジクヒトリモドキ】
今回は、イチジクの葉っぱを集団で食い荒らすやつです。
すごく小さい、糸を出してぶらさがる気持ち悪い幼虫です。
毎年見かけていましたが、今回はちゃんと調べてみました。

イチジクヒトリモドキの名前と分類|和名・学名・英名・分類群を解説
調べたところ、イチジクヒトリモドキという蛾の幼虫でした。
( ゚Д゚)
名前
和名:イチジクヒトリモドキ
学名:Asota ficus
英名:Fig moth(フィグ・モス)
分類
チョウ目・ガ上目 (Lepidoptera)
科:ヤガ科(旧分類)または Erebidae(ヒトリモドキガ亜科 Aganainae)

イチジクヒトリモドキの特徴|体長・体色・形態的ポイントを紹介
大きさ・体の特徴
幼虫(若齢~中齢幼虫)
大きさ:〜約 20 mm 程度
特徴:背面は白っぽい、頭部は黒、体側面に橙色を帯びる。
刺毛の基部が橙色、そこから白く長い刺毛が出ている。

幼虫(終齢幼虫)
大きさ:約 40 mm
特徴:背面は灰黒色がかった黒、腹面は橙黄色。
刺毛の基部が橙色、白い長い刺毛が全体に見える。
頭部は光沢ある黒色。
成虫
翼を広げた大きさ:50~70 mm 程度
前翅は黄色〜赤褐色を基調とし、淡黄色の基部斑を持つ。
黒い斑紋や線条が散在。
後翅は、鮮やかなオレンジ黄色地で、細く黒斑を含む。
イチジクヒトリモドキの生態と食性|イチジクの葉を食べまくる!
生態・食性

幼虫
若齢期は集合性が強く、葉裏などに群れてイチジク属「イチジク、イヌビワ、オオイタビ」などの葉を食べまくります。
終齢期には葉をほとんど食べつくすようになります。
葉が少なくなると果実の皮なども食べることがあるようです。
成熟すると樹を降り、地表付近で繭を作って蛹になります。
色々調べても、この幼虫が糸を出してぶらさがって逃げるという記録がみつかりませんでした。
食害されたイチジクの葉を取り除こうとすると、加奈ぽこラボに気づいて、糸を出してぶら下がって逃げたような気がしたんだけどなぁ・・・(;・∀・)

成虫
日没後に活動を始め、夜間に飛ぶことが多い。
昼間は葉の裏側などに隠れて休む傾向があります。(つまり、休眠場所として葉裏を利用する)
成虫は夜行性で、主に夜間に蜜や果汁、樹液などの液体を吸うと考えられています。
イチジクヒトリモドキの発生時期と見られる場所
発生時期:4月〜11月頃。
年に 3〜4 世代が重なるとみられる。
見られる場所:イチジクの栽培地や庭木、放任樹など。
特に日当たりがよく風通しの悪い場所の葉裏で見かけることが多い。

イチジクヒトリモドキは害虫か益虫か?
一般的に、イチジクヒトリモドキは 害虫として扱われます。
幼虫がイチジクの葉を食害し、大量発生すると葉をほとんど残さないほどに食いつくすためです。
果実の皮まで食われる例、若果実の落果、樹勢低下などの被害が報告されている。


(↑ いっせいに葉っぱの裏から地面に逃走したイチジクヒトリモドキの幼虫)
名前の由来|「イチジクヒトリモドキ」の意味と語源
イチジクヒトリモドキの名前の由来は次のとおりです。
「イチジク(無花果)」を食樹とすることから「イチジク」の語を冠する。
「ヒトリモドキ」は、他の 「ヒトリモドキ 類(=ヒトリモドキガ亜科に属する蛾)」との関係・類似性を示す語。
ヒトリモドキという蛾の名前の由来は、「火取」とか「灯取(ひとり)」という語の古語的表記と関係する可能性があります。
蛾には「灯に飛来する虫」という意味で「灯(ひ)を取るもの」→「灯取」→「ヒトリ」などという語が伝わっている例もあるためです。
モドキ「擬き」は「本物ではないもの、似ているもの、模したもの」を意味する古語で、生物和名では、ある本体(代表的な種や形)に似ているが区別すべき別のものを「〜モドキ」と命名する例が多いです。
また、「灯擬き(灯をモドキ/灯を模すもの)」という表現をもって、蛾が光に飛来する様子を念頭に置いた名前付けの可能性もあります。
イチジクヒトリモドキの豆知識・トリビア
近年、本種の分布が西日本中心に拡大しているという報告が複数あります。
これは温暖化や人為的移動などの影響が関与している可能性が指摘されています。

(↑ イチジクの樹に一人でなりきっている男性と、誰にも見つからないようにイチジクを一人でもぎまくっている女性のイメージ写真)

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